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保育実践・行政職への道

認定こども園武庫愛の園幼稚園 濱名 潔

濱名 潔

 私は幼年教育研究施設に博士課程後期2年まで在籍した後、保育者として現場に出ました。研究者として外から保育を見るのではなく、実際に担任として保育をしたくなったからです。
 実際に保育をしてみると「おもしろい!楽しい!」と感じるだけでなく、「どうしたらよいのだろう?」と難しさも感じるようになりました。より良い保育をするには、長年の蓄積による感覚、直観、コツだけしかないのでしょうか?「保育者一年目だから、仕方ないよ」と言えばそれまでですが、そこをなんとか理論で補えないかと日々悶々としていました。
また、現場ではどうしても改善できない課題があることも痛感しました。例えば、保育の音環境や配置基準、面積などは保育者の意見だけで変えることはできません。このように日々の課題にぶち当たる中で、保育をより良くするには改めて「理論」が必要であり、実践者の感覚から理論構築ができないかと考え、再び幼年教育研究施設に戻りました。その後、幼年教育研究で自身の保育経験を問い直した研究で博士(教育学)の学位を取得しました。そして、現在は再び保育者として働いております。
 保育をしていると日々、疑問や課題、悩みが出てきます。私は幸い、幼年教育研究施設で研究の方法や論文の書き方を学ぶことができました。今後はこの経験を活かして、どうのようにして、現場の課題感から保育をより良くしていくか。そういう理論を構築していきたいと思います。幼年教育研究施設で教わった理論と実践の融合を現場の立場から探求していきたいです。
〈大学院への進学を考えておられる方へ)
 幼年教育研究施設の良さは心理学や教育学などの学問横断的に幼児の発達や教育を追求できるところです。特に、総合特研という合同ゼミでは心理学と教育学の教員や院生から自分の研究に対してコメントがもらえるので、視野が広がりました。
 他にも、幼年教育研究施設では量的研究も質的研究などの様々な研究アプローチが学べるので、自分の研究の引き出しが広がりました。また幼年教育研究施設はタテとヨコのつながりも強いです。例えばタテの関係で言えば、全国でも活躍されている諸先輩方のお話を聞いたり、研究会に誘ってもらえることもあります。また横の関係を見ると、ゼミ生同士で投稿論文にコメントを入れ合う文化もあります。
 このように幼年教育研究施設には様々な良さがありますが、私が一番良いなと思うところは皆が研究に対してプライドを持ち、厳しさを持っている点です。現場を出て「保育をわかっている感」で発表しても、学問的に徹底的に問われます。こうした自分の見方や当り前を考え直せる機会によって、視野が広がります。いかに自分の考えが偏っていたかを考え直させられます。
どこの大学院にするか迷われているのであれば、研究環境が充実している幼年教育研究施設をオススメします。

愛知県 福祉局福祉部 地域福祉課 子ども未来応援G 内藤 圭佑

 H28年度に広大幼研(学部生)を卒業し、3年間保健所に勤務しました。

 現在は県庁に異動し、生活困窮者自立支援制度等の担当グループに勤務しています。生活困窮の方への支援や子どもの貧困対策、子ども食堂の推進等、グループの業務は多岐にわたります。

 毎日新しい知識が目や耳に飛び込んできて、驚きや戸惑いの連続です。ただ、僕がつまづくたびに先輩方が暖かく声をかけてくれるおかげで、前向きに頑張れています。

 思えば幼研に所属した2年間も、先生をはじめ多くの方にお世話になりました。先生には、卒論の内容について何度も相談に乗って頂きました。その内容に合わせて、行政職の方にインタビューやアンケートをする機会も設けてもらいました。提出の締め切り直前に添削をお願いしてしまった時も、丁寧にご助言頂きました。感謝の気持ちでいっぱいです。

 また、研究室の皆さんにも支えて頂きました。ゼミ発表の日程決めの際には、公務員試験の日程を加味してもらいました。他にも、「卒論に役立つかも!」と言って資料をくださったり、模造紙を使ってKJ法分析を手伝ってくれたりしました。花見、合宿、託児保育、節分豆まきなどの行事で皆さんとお話ししたのも、心に残っています。

 ゼミ発表では、「どうしてこう考えたの?」という質問をよく耳にしました。根拠を持って丁寧に進めることの大切さは、働き出してからようやく分かり始めました。自分の曖昧な知識だけで判断してはいけない業務であると日々感じます。自分の判断・行動についてしっかり説明できるようにすることと、先輩方の確認をこまめに受けることを心がけています。

 幼研の皆様ともまたお会いして、近況をご報告申し上げたいです。良い報告を多く広島へ持っていけるよう、日々励みたいと思います。皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。

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